コンビニ速報

2016年07月23日

セブンイレブンはトップを走り続けられるのか?

今年4月、「コンビニエンスストアの育ての親」と呼ばれるカリスマ経営者であるセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼最高責任者が、辞任を表明しました。実質的には解任に近い状態でした。そして5月26日には井阪隆一社長をトップとする新しい経営体制がスタートし、その後の業績が注目されています。  セブン&アイHDの中核事業はセブンイレブンです。
全体の営業利益のうち、約85%がコンビニエンスストア事業で占められています。28年2月期の通期決算を見ても、営業利益3523億円のうち、セブン-イレブン・ジャパンが展開するセブンイレブンのコンビニエンスストア事業は実に3041億円の利益をあげています。日本のコンビニチェーンでトップに君臨し続けるセブンイレブンが、今後もその地位を維持できるのか。

それは、鈴木元会長がこだわり続けていた「徹底」がしっかり踏襲できるのかという点に懸かっていると私は思っています。

 今回は、7月7日に発表になった平成28年2月期(2015年3月〜2016年2月)決算と、最新の平成29年2月期第1四半期(2016年3〜5月)決算を見ながら、今後の見極めのポイントを解説していきます。


鈴木会長が社長交代の人事案を出した当時、セブン&アイの業績はどのようになっていたのでしょうか。2015年3月〜2016年2月の1年間の決算を見てみましょう。

 損益計算書によると、フランチャイズ収入を含むすべての売上高にあたる「営業収益」は、前の期より0.1%増の6兆0457億円。本業の儲けにあたる「営業利益」は2.6%増の3523億円でした。好調な数字です。

 ただし、傘下のスーパーであるイトーヨーカドーや、百貨店のそごう・西武の不採算店舗の閉店などに伴い、減損損失や構造改革費用などがかかったため、純利益は7%減の1609億円となりました。最終利益は減益になりましたが、全く問題のない水準です。

 最新の2016年3〜5月の3カ月間の決算はどうでしょうか。営業収益は前年同期より3.2%減の1兆3947億円。営業利益は0.5%減の814億円でした。減収減益の原因は、百貨店事業です。業績不振のために10億円の営業損失を計上したことが全体に響きました。









コンビニ事業だけで8割以上の利益を稼いでいる

 本コラムでは何度も指摘していますが、セブン&アイのみならず、国内の百貨店事業は全体的に非常に厳しい状況に陥っています。

 「全国百貨店売上高」を見ますと、3月は前年比マイナス2.9%、4月は同マイナス3.8%、5月は同マイナス5.1%。ずっと前年比マイナスの数字が続いていますね。

 近年、中国人観光客による「爆買い」が話題になっていましたが、中国経済の減速などにより、高額品販売を中心とする百貨店ではすでに爆買いはほぼ終わっているのです。これは、一時1元=20円程度まで円安だったのが、最近では15円程度まで円高が進んだことと、中国政府による高額品の関税率上げなどが影響しています。背景には、4兆元あった中国の外貨準備が、人民元の防衛などで3.2兆円程度まで急減していることもあるでしょう。

 セブン&アイ傘下のそごう・西武も例外ではありません。じわじわと業績が悪化しつつあるのです。


 もう少し詳しく分析するために、事業ごとの業績をまとめた「セグメント情報」を見てください。この表は最新の第1四半期のものです。

 営業利益814億円のうち、約85%を稼いでいるのが「コンビニエンスストア事業」689億円です。百貨店事業は10億円の営業赤字を計上している一方で、コンビニ事業は前年同期より4.2%増となっています。コンビニ事業は相変わらず好調なのです。

 事業全体を見渡しますと、コンビニエンスストア事業と金融関連事業(セブン銀行等)以外はほとんど利益を上げていません。スーパーストア事業も、5124億円の売り上げがあるにも関わらず、営業利益は65億円しかありません。

 というのは、「売上高営業利益率(営業利益÷売上高)」が1.3%と極めて低いからです。コンビニ事業の11.8%と比べますと、その差は歴然です。

 ただ、セブン銀行やセブン・フィナンシャルサービスなどが含まれる「金融関連事業」は好調です。売上高営業利益率は26.3%。セブン&アイは、コンビニ事業という主軸に加え、金融関連事業という第二の柱で稼いでいるという構図になっているのです。これは、2015年3月から2016年2月までの前期の1年間の業績を見てもほぼ同じ構図です(スーパーストア事業は72億円の黒字、百貨店事業は38億円とかろうじて黒字)。




鈴木敏文氏は「徹底」によってセブンを日本一にした

 こうした中、4月には鈴木敏文会長の解任劇がありました。冒頭でも触れましたが、鈴木氏は「コンビニエンスストアの育ての親」とも呼ばれ、セブンイレブンを日本一に育て上げた経営者です。

 鈴木氏という強力なリーダーシップを失ったセブンイレブンは、現在の業績を維持できるのでしょうか。

 セブンイレブンは今、全国で約1万9000店舗あります。2014年度と少し古い数字になりますが、1日あたりの1店舗の売上高は、セブンイレブンは平均で約66万円。一方、競合のローソンは53万円、ファミリーマートは約51万円、サークルKサンクスは約44万円です。この傾向は最近に始まったことではなく長年続いています。

 同じような立地、商品、サービスで、なぜこれだけの差が付いているのでしょうか。それは、「徹底」の差だと私は考えています。これは、まさに鈴木氏がセブンイレブンに根付かせたものです。



 私は、コミュニケーションというのは「意味」と「意識」の両方が必要だと考えています。どんな商品を打ち出していくか。店舗をどのように変えていくかということは、「意味」の問題ですから、メールや書面でも伝えることはできます。

 でも、「徹底」は違います。文字だけでは伝わりません。

 例えば、セブンイレブンのおにぎりはとても美味しいと評判です。なぜならば、米の選び方から、炊き方、炊き上がりの米の芯の温度まで細かく指示徹底して作っているからです。バイヤーが田んぼまで出かけて、日当たりまで確認しているとも聞きました。

 また、セブンイレブンでは、長い間、毎週、東京の本社にスーパーバイザーを何百人も集めて会議をしてきました。現在では2週間に一度になったそうですが、鈴木氏は、そこで1000回以上も話をしたそうです。

 また、昨年にはこんなことがありました。昨年夏、私の事務所近くのセブンイレブンの店長が弊社を訪ねてきて、「夏季休業はいつですか?」と聞いてきたのです。私の事務所は10人程度の小さな会社ですから、当然、ここだけではなく周辺の会社すべてを回っているのでしょう。

 お盆休みが集中している期間はお弁当などの仕入れを減らし、分散していれば通常の仕入れにしておくというように、調査しているのです。私の事務所近辺には、セブンイレブン以外のコンビニもありますが、夏季休業を聞きにたずねて来られたのはセブンイレブンだけです。このようなことでも一歩の踏み込みが他のコンビニチェーンと違うのです。










一店舗あたりの売上高で2〜3割も差がつく

 このようなことは、言ってみれば「ちょっとしたこと」に過ぎないと感じられるかもしれません。しかし、このようなことの積み重ねが、毎日の一店舗あたりの売上高で2〜3割も差がついているのだと思います。

 このようなことをやれば業績が上がることは、他のコンビニチェーンも分かっています。でも、頭で分かっていても実行できないのです。

 優秀な人は、頭で考えたことをやれると思うかもしれませんが、事業というものはそんなに簡単なものではありません。すぐに思ったことを実行できるのであれば、誰だって天才になれますし、業績を上げられるはずです。

 では、徹底を実行できる力はどこにあるのか。それはトップに懸かっています。熱意や信念です。仕組みではないのです。

 コンビニ事業は、店舗で小売りをやっているわけですから、提供する商品やサービスは外から丸見えです。同じような立地や店舗、商品でこれだけの差が出るのは、やはりトップが従業員に求める「徹底」だと思うのです。

セブン&アイの今後を見極めるポイントとは

 4月に鈴木氏が退任し、新たに井阪氏がCEOに就任しました。私はもちろん新しいCEOを非難するわけではありませんが、鈴木氏が去ったことで、「徹底のための求心力」が維持できるのかどうか、非常に注目しています。

 繰り返しますが、企業はすべてトップに懸かっています。かつて、経営コンサルタントの一倉定さんが、次のように仰っていました。「会社には、良い会社・悪い会社はない。良い社長・悪い社長しかいない」。その通りだと思います。

 大企業でも中小企業でも同じです。東芝の不祥事だって、シャープの凋落だって同じです。みんなトップが原因であり、社員のせいではありません。


セブン&アイのトップが交代し、鈴木氏が陣頭指揮でやり続けた「徹底」がどれだけ維持できるのか。ここがポイントになります。

 企業というものは「弾み車」みたいなものですから、業績の好調はしばらく続くでしょう。私が注目しているのは、1日の1店舗あたりの売上高です。これが伸びていくのか、それとも落ちていくのか。ここで徹底の度合いを見ることができるのではないかと思います。


http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160722-55448031-bpnet-ind
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